栗は「寝かせる」と甘くなる|2026年の丹波栗は出来かなりいい、和栗と中国栗の違い・皮むきのコツ・栗ごはんと渋皮煮・十三夜「栗名月」

栗は寝かせると甘くなる 2026年の丹波栗・品種・皮むき・栗ごはん・十三夜栗名月

執筆者:

カテゴリ:

, , ,

ほっくりとした食感と、やさしい甘み。秋の味覚のなかでも、栗ほど季節の深まりを感じさせてくれる食材はないかもしれません。炊きたての栗ごはん、つややかな渋皮煮、そして洋菓子店のショーケースを彩るモンブラン。栗は、和にも洋にも寄り添う、秋の主役です。

2026年の秋は、栗にとってうれしい便りが届いています。高級栗の代名詞として知られる兵庫県丹波篠山市の「丹波栗」は、厳しい暑さの夏を越えながらも品質は上々で、産地からは「ことしの出来はかなりいい」という声が上がりました。都心では和栗のモンブランを集めたイベントがにぎわい、栗スイーツは今年も秋の一大トレンドになっています。

この記事では、2026年の栗の最新事情とともに、栗を自然・科学・歴史・文化・哲学というGASTRONOMIXの5つの視点から読み解きます。栗はなぜ寝かせると甘くなるのか、和栗と中国栗は何が違うのか、面倒な皮むきを楽にするコツ、栗ごはんや渋皮煮をおいしく作るポイントまで。知れば知るほど、今年の栗はもっとおいしくなるはずです。

この記事でわかること

・2026年の栗の作柄と、和栗・モンブランの最新トレンド

・栗が「寝かせると甘くなる」理由と、甘み・食感の科学

・丹波栗(銀寄)・利平・ぽろたんなど品種の違いと、和栗と中国栗の違い

・おいしい栗の選び方・保存法と、皮を楽にむく方法

・栗ごはん・渋皮煮・モンブランのコツと、十三夜「栗名月」の文化

2026年の栗事情|丹波栗は「出来かなりいい」、モンブランは進化中

まずは、2026年秋の栗をめぐる状況を整理しておきましょう。キーワードは「上々の作柄」「和栗人気」「モンブランの進化」の3つです。

2026年の栗の最新事情 丹波栗の作柄と和栗モンブランのトレンド

丹波栗は猛暑でも「出来かなりいい」

兵庫県丹波篠山市では、9月下旬に丹波栗の収穫が最盛期を迎えました。夏は厳しい暑さが続きましたが、市によると品質に問題はなく、地元の栗の振興団体の担当者は「ことしの出来はかなりいい」と話しています。大粒で甘みの強い丹波栗は、ふるさと納税の返礼品としても人気が高く、収穫の最盛期は10月中旬ごろまで続くとみられていました。産地では、栗を使った料理やスイーツを楽しめるフェアも、11月上旬まで開かれています。

生産量日本一・茨城の「和栗」も都心でアピール

栗の生産量で全国一を誇る茨城県は、県内最大の産地・笠間市の栗を中心に、首都圏でのPRに力を入れています。9月には東京・池袋で「笠間マロンコレクション2026」が開かれ、16店舗が和栗のモンブランや和菓子、パンなどを販売。本物のイガを使った「栗拾い」体験も行われ、多くの人でにぎわいました。

モンブランは「進化系」が続々

栗スイーツの主役・モンブランも進化を続けています。和栗のペーストを目の前で絞り出す「搾りたてモンブラン」や、栗の風味をダイレクトに味わえる砂糖控えめのタイプ、パフェやジェラート、アフタヌーンティーなど、楽しみ方はますます多彩に。東京・麻布台ヒルズでは、秋の食をテーマにしたイベントで26店舗が33種類の栗メニューを提供するなど、栗は秋の商戦の主役として扱われています。

暑さと栗の関係

栗は比較的暑さに強い果樹ですが、夏の高温や雨不足が続くと、実の太りが悪くなったり、実が早く落ちたりすることがあります。近年は猛暑の年が続き、産地では水やりや草刈り、木の手入れなどを工夫しながら品質を守っています。そうしたなかで届いた今年の「出来かなりいい」という声は、生産者の努力の成果ともいえるでしょう。

十三夜は「栗名月」

2026年の十三夜は10月23日。十三夜は「栗名月」とも呼ばれ、栗を供えて月を愛でる風習があります。栗のおいしさがいちばん深まるこの時期に、旬の栗をじっくり味わってみましょう。

【自然】イガの中の小さな宇宙|栗の木と実のしくみ

身近な栗ですが、その実のつくりをじっくり観察したことはあるでしょうか。栗の自然の姿を知ると、食べ方の工夫の理由も見えてきます。

栗のイガと鬼皮・渋皮・実の三層構造

トゲトゲのイガは「実を守る鎧」

栗の実は、鋭いトゲにおおわれた「イガ」の中で育ちます。イガは、実が熟すまで動物に食べられないように守る、いわば鎧のような存在です。秋になって実が熟すと、イガは自然に割れて、中から通常2〜3個の実が顔を出します。栗拾いでは、このイガが割れて落ちた実を拾います。

「鬼皮」「渋皮」「実」の三層構造

栗の実は、外側から、硬くてつやのある「鬼皮(おにかわ)」、実にぴったりと張りつく薄い「渋皮(しぶかわ)」、そして私たちが食べる「実」の三層でできています。私たちが食べている部分は、植物学的には種子の中の「子葉」にあたり、芽生えのための栄養であるでんぷんをたっぷりとたくわえています。

渋皮の「渋み」の正体

渋皮には、タンニンなどのポリフェノールが含まれており、これが「渋み」の正体です。ニホングリは、この渋皮が実にしっかりと張りついていて、むきにくいのが特徴です。一方、中国栗は渋皮がはがれやすく、焼き栗にすると殻ごとパカッと割れて食べやすくなります。渋皮煮は、この渋皮をあえて残し、重曹でアクを抜きながら煮ることで、渋皮ごと味わう料理です。

日本の野山に自生する「シバグリ」

日本の山野には、もともと「シバグリ(山栗)」と呼ばれる小粒の栗が自生しています。私たちが食べている大粒のニホングリは、このシバグリをもとに、長い年月をかけて大きく甘い実をつける木が選ばれ、育てられてきたものです。栗は、日本の自然と人の暮らしが一緒になって育んできた果実なのです。

栗の花と受粉の不思議

栗は、初夏の6月ごろに、白っぽい穂のような花を咲かせ、独特の強い香りを漂わせます。栗は同じ品種の花粉では実がつきにくい性質があるため、栗園では、異なる品種の木を近くに植えて受粉を助けています。秋に実るおいしい栗は、初夏の花の季節から、虫や風の力を借りて準備が始まっているのです。

【科学】栗はなぜ「寝かせる」と甘くなる?

採れたての栗よりも、しばらく冷蔵庫で寝かせた栗のほうが甘い――そんな話を聞いたことはありませんか。これは、栗の中で起こる化学変化によるものです。

栗が低温で寝かせると甘くなる仕組み

低温でデンプンが「糖」に変わる

栗の実の主成分はでんぷんです。収穫したての栗を0℃前後の低温で保存すると、栗は寒さから身を守ろうとして、でんぷんを糖に変えていきます。その結果、数週間ほど低温で貯蔵した栗は、収穫直後に比べて糖度が大きく上がり、甘みが増すことが知られています。産地や販売店のなかには、この性質を利用して、一定期間低温で熟成させてから出荷する「熟成栗」を扱うところもあります。

加熱で「ほっくり」と「ねっとり」が生まれる

栗を加熱すると、でんぷんが水を含んでやわらかくなる「糊化」が起こり、ほっくりとした食感が生まれます。さらに、ゆっくり加熱すると、でんぷんの一部が分解されて甘みが増すともいわれます。焼き栗やゆで栗、蒸し栗など、加熱の方法によって、ほっくり感やねっとり感、甘みの出方が変わるのも栗の面白さです。

ゆでる・蒸す・焼くで変わる味わい

ゆで栗は、水分を含んでしっとりとやさしい味わいに。蒸し栗は、うま味が逃げにくく、ほっくりとした食感と甘みが際立ちます。焼き栗は、香ばしさが加わり、水分が適度に抜けて甘みが凝縮されます。同じ栗でも、加熱の方法を変えるだけで、まったく違う表情を楽しめます。

栄養と、うれしい成分

栗はでんぷんを主成分とする、エネルギー源になる食材です。さらに、食物繊維やカリウム、ビタミンB1、ビタミンCなども含んでいます。栗のビタミンCは、でんぷんに守られているため、加熱しても比較的壊れにくいといわれます。渋皮に含まれるタンニンなどのポリフェノールにも、抗酸化作用があることが知られています。

甘栗が甘いのはなぜ?

街角で売られている「甘栗」は、主に中国栗を、熱した小石と一緒に煎ってつくられます。中国栗はもともと甘みが強く、渋皮がむけやすい品種で、石と一緒にじっくり加熱することで、ほくほくと甘く仕上がります。表面のつやは、仕上げに加える水あめなどによるものです。

品種で選ぶ栗|丹波栗(銀寄)・利平・ぽろたん、和栗と中国栗の違い

ひとくちに栗といっても、品種や種類によって大きさや甘さ、食感、皮のむきやすさはさまざまです。代表的な品種と、和栗・中国栗・西洋栗の違いを紹介します。

丹波栗(銀寄)・利平・ぽろたんなど栗の品種と和栗・中国栗・西洋栗の違い

丹波栗と「銀寄(ぎんよせ)」

「丹波栗」は、京都府・兵庫県・大阪府にまたがる丹波地方で栽培される大粒の栗の総称です。その代表品種が「銀寄」。大阪府北部の能勢地方が発祥とされる古くからの品種で、大粒で香りがよく、ほっくりとした食感と上品な甘みが特徴です。丹波栗は江戸時代には献上品とされたともいわれ、高級栗の代名詞として知られています。

利平(りへい)――「栗の王様」とも

「利平」は、岐阜県で生まれた品種で、ニホングリと中国栗をかけ合わせたものです。中国栗の血を引くため甘みが強く、ねっとりとした濃厚な味わいが特徴で、「栗の王様」とも呼ばれます。生産量が少なく、希少な品種としても人気があります。

ぽろたん――渋皮が「ぽろっ」とむける

「ぽろたん」は、農研機構が開発した比較的新しい品種です。ニホングリでありながら、鬼皮に切れ目を入れて加熱すると、渋皮ごと「ぽろっ」とむけるのが最大の特徴。ニホングリの皮むきの手間を大きく減らした画期的な品種として注目されています。

そのほかの代表的な品種

このほか、全国で広く栽培されている「筑波」は、甘みと香りのバランスがよく、加工にも向く和栗の代表的な品種です。愛媛県などで多く栽培される「石鎚(いしづち)」は、晩生の品種で、ほっくりとした食感が特徴。山口県で生まれた「岸根(がんね)」は、非常に大粒の晩生品種として知られています。品種名を意識して選ぶと、栗の食べ比べがいっそう楽しくなります。

和栗・中国栗・西洋栗の違い

和栗(ニホングリ)は、大粒で上品な甘みと香りがあり、渋皮がむきにくいのが特徴です。栗ごはんや渋皮煮、栗きんとんなど、和の料理や菓子に向いています。中国栗は、小粒で甘みが強く、渋皮がむきやすいため、甘栗に使われます。西洋栗(ヨーロッパグリ)は、フランスやイタリアなどで栽培され、マロングラッセや焼き栗などに使われます。それぞれの個性を知って使い分けると、栗料理の幅がぐっと広がります。

主な産地

栗の生産量は茨城県が全国一で、熊本県や愛媛県などが続きます。茨城県の笠間市、熊本県の山江村、愛媛県の中山町、そして丹波地方など、各地に名産地があり、それぞれの土地ならではの栗が育てられています。

おいしい栗の選び方と保存法

栗は、選び方と保存の仕方で、おいしさが大きく変わります。家庭で栗を楽しむための基本を押さえておきましょう。

おいしい栗の選び方と保存法

栗の旬は「早生・中生・晩生」でリレー

栗の旬は、一般に9月から10月ごろですが、品種によって収穫時期が異なります。8月下旬から9月上旬ごろに出回る「早生(わせ)」、9月中旬から下旬ごろの「中生(なかて)」、10月ごろの「晩生(おくて)」と、品種が入れ替わりながら旬がリレーしていきます。10月下旬は、晩生の品種や、低温で寝かせて甘みを増した栗を楽しめる時期です。

選ぶなら「重く・つやがあり・ふっくら」

おいしい栗は、手に持ったときにずっしりと重みがあり、鬼皮につやがあって、ふっくらと丸みのあるものです。皮にしわがあるものは乾燥が進んでいるサイン。小さな穴が開いているものは、虫が入っている可能性があるので避けましょう。お尻の部分(座)が白っぽく、きれいなものも新鮮さの目安になります。

保存は「冷蔵のチルド室」で甘みアップ

栗は乾燥に弱く、常温に置いておくと鮮度が落ち、虫の被害も出やすくなります。買ってきたら、新聞紙やキッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルド室など、0℃に近い低温の場所で保存しましょう。先に紹介したように、低温で保存することで、でんぷんが糖に変わり、甘みが増していきます。

長く保存するなら冷凍も

すぐに食べきれない場合は、冷凍保存もできます。生のまま鬼皮付きで冷凍する方法のほか、ゆでたり、皮をむいたりしてから冷凍しておくと、栗ごはんなどにすぐに使えて便利です。冷凍した栗は、解凍せずにそのまま調理に使いましょう。

面倒な皮むきを楽にするコツ

栗料理のいちばんのハードルは、硬い鬼皮と、実に張りついた渋皮をむく作業かもしれません。ちょっとした工夫で、皮むきはぐっと楽になります。

栗の皮むきを楽にするコツ

熱湯に浸けて鬼皮をやわらかく

栗をボウルに入れ、熱湯を注いで30分〜1時間ほど浸けておくと、鬼皮がやわらかくなり、包丁でむきやすくなります。栗のお尻の平らな部分に包丁を入れ、とがった先端に向かって鬼皮を引きはがすようにむくのがコツです。一晩水に浸けておく方法もあります。

渋皮は包丁で薄くそぐ

鬼皮をむいたら、渋皮を包丁で薄くそぎ取ります。ニホングリの渋皮は実に張りついているので、実を削りすぎないように注意しましょう。むいた栗は、水にさらしてアクを抜くと、変色を防ぐことができます。

専用の皮むき器や「ぽろたん」も

栗の皮むき専用のハサミを使うと、鬼皮と渋皮を一度にむくことができ、作業がぐっと楽になります。また、先に紹介した「ぽろたん」なら、鬼皮に切れ目を入れて加熱するだけで、渋皮ごと簡単にむけます。皮むきが面倒で栗料理を敬遠していた人にもおすすめです。

ゆで栗なら「半分に切ってスプーン」

皮をむかずに楽しむなら、ゆで栗が手軽です。栗をたっぷりの水に入れて火にかけ、沸騰してから30〜40分ほどゆで、そのまま冷まします。半分に切って、スプーンで中身をすくって食べれば、皮むきの手間もかかりません。

栗をおいしく食べる|栗ごはん・渋皮煮・栗きんとん・モンブラン

栗の魅力を存分に味わえる、定番の料理とお菓子のコツを紹介します。

栗ごはん・渋皮煮・栗きんとん・モンブラン 栗の定番料理

栗ごはん――塩とみりんでシンプルに

皮をむいた栗を、研いだお米と一緒に炊く栗ごはんは、秋の食卓の定番です。味付けは、塩と少量の酒、みりん程度のシンプルなものがおすすめ。栗の甘みが引き立ち、ほっくりとした食感が楽しめます。もち米を少し混ぜると、もっちりとした食感になります。炊き上がったら、栗をくずさないように、さっくりと混ぜましょう。

渋皮煮――重曹でアク抜きを

渋皮煮は、鬼皮だけをむき、渋皮を残したまま煮る料理です。重曹を加えた湯で何度かゆでこぼしてアクを抜き、渋皮の表面の筋を竹串などでていねいに取り除いてから、砂糖を加えたシロップでじっくり煮含めます。手間はかかりますが、渋皮ごと味わう上品な甘さは格別。瓶に詰めて保存すれば、少しずつ楽しめます。

栗きんとん――栗そのものの味わい

岐阜県の中津川市などで知られる栗きんとんは、蒸した栗の中身を取り出して裏ごしし、砂糖を加えて炊いたものを、茶巾で絞って形を整えた和菓子です。栗と砂糖だけのシンプルな材料だからこそ、栗そのものの風味が際立ちます。おせち料理の栗きんとんとは別のお菓子で、秋にしか味わえない季節の味として親しまれています。

モンブラン――栗ペーストを絞って

モンブランは、栗のペーストを細く絞り出して、山のような形に仕上げた洋菓子です。名前は、アルプスの最高峰・モンブラン(白い山)に由来し、粉砂糖をかけた姿は雪をかぶった山を表しているといわれます。日本では、黄色い栗の甘露煮を使ったモンブランが昭和初期に生まれ、その後、和栗や渋皮を使った茶色いモンブランまで、さまざまなスタイルに広がりました。

栗の簡単アレンジ|焼き栗・ポタージュ・炊き込み

定番料理だけでなく、手軽なアレンジでも栗の魅力は楽しめます。

家庭でできる焼き栗

栗の鬼皮に包丁で切れ目を入れ、オーブンやトースター、フライパンでじっくり焼くと、香ばしい焼き栗が作れます。切れ目を入れずに加熱すると、中の水分が膨張して栗がはじけ、やけどの原因になるので必ず切れ目を入れましょう。フライパンで焼く場合は、ふたをして弱火で、ときどき転がしながら加熱します。

栗のポタージュ

ゆでた栗と玉ねぎをバターで炒め、ブイヨンで煮てからミキサーにかけ、牛乳や生クリームでのばすと、やさしい甘みの栗のポタージュになります。秋の夜にぴったりの、体が温まる一品です。

栗ときのこの炊き込みごはん

栗ごはんに、しめじやまいたけなどのきのこを加えると、うま味と香りがぐっと増した炊き込みごはんになります。醤油を少し加えれば、栗の甘みときのこのうま味が調和した、秋の味覚を一度に楽しめる一品に仕上がります。

甘露煮と渋皮煮の違い

栗の甘露煮は、鬼皮と渋皮の両方をむいてから、くちなしの実などで黄色く色づけし、砂糖のシロップで煮たものです。一方、渋皮煮は渋皮を残したまま煮るため、深い茶色で、渋皮の香ばしさとほろ苦さも味わえます。栗きんとんやおせちには甘露煮、そのまま味わうなら渋皮煮、と使い分けるのもおすすめです。

栗に合う飲み物|ほうじ茶・日本酒・ワインのペアリング

栗の甘みと香ばしさを引き立てる飲み物を合わせると、秋の味覚がいっそう豊かになります。

ほうじ茶・緑茶

栗きんとんや栗ごはんには、香ばしいほうじ茶や、すっきりとした緑茶がよく合います。お茶のほのかな苦みと香りが、栗のやさしい甘さを引き立ててくれます。

日本酒・ワイン・ブランデー

栗ごはんや焼き栗には、秋に出回る「ひやおろし」など、まろやかでうま味のある日本酒が好相性です。渋皮煮やモンブランなどのスイーツには、蜂蜜のような香りを持つ甘口の白ワインや、ブランデー、ラム酒などの洋酒もおすすめ。栗のお菓子に洋酒が使われることが多いのは、香りの相性がよいからです。

コーヒー・紅茶

モンブランや栗のパウンドケーキなどの洋菓子には、深煎りのコーヒーや、香り高い紅茶もよく合います。コーヒーのほろ苦さが栗クリームの甘さを引き締め、紅茶の華やかな香りが栗の香ばしさを引き立てます。アッサムなどのミルクティーと合わせるのもおすすめです。

【歴史】縄文の森から、モンブランまで

栗と日本人の関わりは、稲作よりも古いといわれるほど長い歴史を持っています。

縄文から2026年まで栗と日本人の歴史と十三夜栗名月

縄文人も栗を育てていた

青森県の三内丸山遺跡からは、大量の栗の実や栗の木の柱が見つかっています。研究からは、縄文時代の人々が栗の木を管理し、育てていた可能性が指摘されています。栗は、縄文の人々にとって、食料としても建材としても欠かせない、暮らしの中心にある木だったのです。

古代から奨励された栗の栽培

奈良時代に編まれた歴史書『日本書紀』には、持統天皇が栗などの栽培を奨励したことが記されています。栗は、飢饉に備える大切な食料として、国によって植えることが勧められてきました。

丹波栗の名声と、甘栗・モンブランの登場

江戸時代になると、丹波地方の大粒の栗が名産として知られるようになり、「丹波栗」の名は全国に広まりました。明治以降は、中国から輸入された栗を使った「甘栗」が街角の味として親しまれるようになり、昭和に入ると、洋菓子のモンブランが日本に登場します。縄文の森の恵みは、時代とともに姿を変えながら、いまも私たちの食卓を彩り続けています。

【文化】十三夜「栗名月」と、栗にまつわる言葉

栗は、日本の季節の行事や言葉のなかにも息づいています。

十三夜は「栗名月」

旧暦9月13日の夜の月を「十三夜」と呼び、中秋の名月(十五夜)に次いで美しい月として愛でる風習があります。十三夜には、旬の栗や枝豆を供えることから、「栗名月」や「豆名月」とも呼ばれます。十五夜だけを見て十三夜を見ないことは「片見月」といって縁起が悪いとされ、どちらの月も楽しむのがよいとされてきました。

「桃栗三年柿八年」

「桃栗三年柿八年」ということわざは、桃や栗は芽が出てから実がなるまで3年、柿は8年かかることから、何事も成し遂げるまでには相応の年月がかかるという意味です。栗の木が実をつけるまでの時間は、昔から人々の暮らしの身近な目安だったのです。

秋の行楽「栗拾い」

秋になると、各地の観光農園で栗拾いが楽しめます。足でイガを押さえて開き、トングで実を取り出す体験は、子どもから大人まで人気の秋の行楽です。厚手の靴と軍手を用意し、イガのトゲでけがをしないように気をつけて楽しみましょう。

世界の栗の楽しみ方

ヨーロッパでは、冬の街角で焼き栗の屋台が立ち、紙袋に入った熱々の焼き栗が冬の風物詩になっています。フランスのマロングラッセや、イタリアの栗粉を使ったお菓子など、栗は世界各地で、寒い季節を温める味として親しまれています。

【哲学】イガの中で待つ時間

鋭いトゲのイガに守られ、秋になると自ら割れて実を差し出す栗。そのおいしさは、木が実をつけるまでの年月、イガの中で実が熟すまでの時間、そして収穫後に寝かせて甘みが増すまでの時間――いくつもの「待つ時間」によってつくられています。

手間のかかる皮むきも、じっくり煮含める渋皮煮も、栗と向き合う時間そのものが、秋の豊かさなのかもしれません。今年の栗を手にしたら、急がずに、その時間ごと味わってみてください。

縄文の人々が森の栗を大切に育てたように、栗は人と自然が長い時間をかけて関係を結んできた食材です。一粒の栗の向こうにある、木と人と季節の物語を感じながら味わうことこそ、ガストロノミーの楽しみといえるでしょう。

栗に関するよくある質問(FAQ)

Q. 2026年の栗の出来はどうですか?

A. 兵庫県丹波篠山市の丹波栗は、厳しい暑さの夏を越えながらも品質に問題はなく、産地からは「ことしの出来はかなりいい」という声が上がっています。収穫の時期や作柄は産地によって異なります。

Q. 栗を甘くする保存方法は?

A. 新聞紙などで包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫のチルド室など0℃に近い低温で保存すると、でんぷんが糖に変わり、甘みが増します。数週間ほど寝かせると、収穫直後よりも甘くなることが知られています。

Q. 栗の皮を簡単にむく方法は?

A. 熱湯に30分〜1時間ほど浸けて鬼皮をやわらかくしてから、お尻の部分に包丁を入れてむくと楽になります。専用の皮むきバサミや、渋皮がむけやすい品種「ぽろたん」を選ぶのもおすすめです。

Q. 和栗と中国栗の違いは?

A. 和栗は大粒で上品な甘みと香りがあり、渋皮がむきにくいのが特徴です。中国栗は小粒で甘みが強く、渋皮がむけやすいため、甘栗に使われます。

Q. 丹波栗とはどんな栗ですか?

A. 京都府・兵庫県・大阪府にまたがる丹波地方で栽培される大粒の栗の総称で、代表品種は「銀寄」です。大粒で香りがよく、ほっくりとした食感と上品な甘みが特徴の高級栗です。

Q. 焼き栗がはじけないようにするには?

A. 加熱する前に、必ず鬼皮に包丁で切れ目を入れましょう。切れ目がないと、中の水分が膨張して栗がはじけ、やけどの原因になります。

Q. 2026年の十三夜(栗名月)はいつ?

A. 2026年の十三夜は10月23日です。十三夜は、栗を供えることから「栗名月」とも呼ばれます。

まとめ:2026年は「出来のいい栗」を、時間ごと味わおう

2026年の秋は、丹波栗の産地から「ことしの出来はかなりいい」という声が届き、和栗のモンブランをはじめとする栗スイーツも、さらに進化を続けています。栗は、低温で寝かせるとでんぷんが糖に変わって甘くなる、時間が味をつくる食材です。

丹波栗の銀寄、濃厚な利平、皮むきが楽なぽろたんなど、品種ごとの個性を知り、冷蔵のチルド室で寝かせて甘みを引き出し、栗ごはんや渋皮煮、モンブランで楽しむ。縄文の森から続く栗の物語に思いを馳せながら、今年の秋の恵みを、じっくり味わってみてください。

GASTRONOMIXでは、これからも旬の食材を、文化・歴史・自然・科学・哲学の5つの視点から掘り下げてお届けしていきます。

※記事内の作柄やイベントなどの情報は、2026年10月中旬時点で公表・報道されている内容をもとにしています。収穫や販売の時期は産地や販売店によって異なります。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です